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フランス語 カンニング読書法その後(1月20日)

「まいにちフランス語」応用編の川竹英克先生って変わった方ですね~。レッスン前のフランス語のおしゃべりがすごく独特です。

☆ Balzac et La Petite Tailleuse chinoise (邦題:バルザックと小さな中国のお針子) Folio版 pp. 47-55
さて「カンニング読書法」ですが、P.229までのうち約五分の一くらいが終わりました。ようやくLa Petite Tailleuse が出てきましたよ。(お針子さん?仕立て屋さん?何と訳すべきか、私は分かりませんが、邦題にならって今後「お針子さん」で行きます)なかなか、積極的な女の子です。

なぜフランス語版のカンニングのために、日本語版でなく英語版を使っているのか、不思議におもっている方もいらっしゃるかもしれませんね。英語の翻訳者といっても、私はブンガク系ではないし、英語版を完璧に分かるわけではありません。でも、例えば、一人称「je」を英語の「I」に置き換えても大して色はつきませんが、日本語訳は必ず「わたし」「あたい」「ボク」など色の付いた単語に置き換えざるを得ないなどという現象があります(他にもいろいろ)。フランス語原文に対して中立的であるため、英語版にしておきました。

先に英語訳を読むとフランス語原文を読むのが馬鹿馬鹿しくなるかもしれないという不安がちょっとありましたが、大丈夫でした。理由の一つは、英語とフランス語では自然な表現が違っているということがあります。

一例。お針子さんが鉱山で働く主人公たち(下放された都会の若者)に書いた手紙の一節。
フランス語原作: Je suis allée en parler au chef de mon village, et il est d'accord pour envoyer deux paysants à la petite mine, vous remplacer pendant deux jours.
英語翻訳: I have been to see the headman of my village, and he has agreed to send two farm workers to the little mine to take your place for a couple of days.
(大意:村長さんにお願いして、二日間だけあなた達の鉱山労働を代わってくれる人を派遣してもらえることになりました。)

英語ではただ「村長さんに会いに行った」ですが、フランス語は「村長さんに話をしに行った」です。村長さんが「同意した」の言い方も「he has agreed」(現在完了)と「il est d'accord」(現在形)など表現が違っています。こういうのを比較しながら読んでいると飽きません。

長く学習しているラジオ講座のスキットは(当然のことながら)、中立的な表現やよくある状況(パリに留学や旅行に行く)ばかりですが、こういう風に独特なお話の中ではどのフランス語単語も生き生きとしているような気がします。

そして、ちょっとずつ読んでいるのも先を想像する楽しみがあってよいものです。ちょうど新聞小説みたいなものかな。あまり興味のない作家や内容でも、一日にちょっとずつの断片があると、妙に想像力を刺激して面白いような気がします。

一回に付き、30個ほどの単語を覚えている計算なので、最後までには1200語ぐらいカバーするでしょうか。歩留まりが80%ほどとして、3ヶ月で960語ほどは増やせるかな?とらぬ狸の皮算用です(笑)。これがうまく行ったら、中国語でもやってみようかな。「まいにち中国語」もそろそろ頭打ちだし(私的に)。

この作業の欠点は時間がかかることです。いつもの時間だけでは足らず、最近、仕事の合間に5分間ずつ自習ファイルの吹込みをしていたりしています。まあ、眠たい時間には目を覚ます効果があってよいのですけど。

皆さんは、忙しい季節でしょうか?

by L-monger | 2009-01-21 01:27 | フランス語 | Comments(6)  

Commented by chez_toi at 2009-01-21 03:15 x
最近はロシア語メインで忘れていたのですが、わたしもフランス語のカンニング読書法をもくろんでいたことを思い出しました。モーパッサン『女の一生』とジイド『田園交響楽』の原書と日本語訳がそれぞれ買ってあります。調べてみると、買ったのは2007年4月です。これらの作品は、いずれも入門書(『標準フランス語入門』と『わかるフランス語・実力編』)の最後の方に訳読の課題として抜粋が載っていたものです。

『田園交響楽』だけは、薄いので日本語訳を岩波文庫で読了しているのですが、タイトルのさわやかさとはうらはらに、あまり幸せな小説ではないです。(^^; 小説は、雑誌記事と比べて時制が複雑で、ニュアンスの違いを厳密に読み解かなければならないという印象です。語彙も手強いです。
Commented by L-monger at 2009-01-23 00:38
chez_toiさん、ブンガクですね~。タイトルを書いていただきありがとうございました。アマゾンで調べて「へへ~」と感心しました。

でも、私は陰々滅々な小説は苦手です。この前、安かったので買ったモーパッサン短編集(対訳式、第三書房、618円)も全然進んでません。

時制の複雑さはBPTCでも、ちょっと悩まされています(笑)。単純過去と半過去の区別がさっとできない状態なので、考え考えになっています。でもこの小説はフランスでは中高生に読ませるようなものですから、語彙は難しくないかな(山ほどプチロワイヤルを引いていますが、99.9%載ってますから)。

軽めの小説で面白そうなのがあったら、ぜひ教えてくださいね。
Commented by まゆの at 2009-02-07 07:14 x
 実はBPTCの抜粋部分、私は解釈を間違っていたことに英語訳を見て気がつきました。petite mineには「顔色が良くない」とか「元気がない」という意味があるので勝手にそう解釈していました。確かにmineは鉱山ですが、この人たちは畑で働いているのだと思っていたので。(畑で働くシーン、ありませんでしたか。)
 夫にこの部分を見せて確認すると、動詞envoyerが使われていることからしても、ここの意味は「鉱山」しかない、と言われました。そうかー。さらっと読んで通り過ぎていたのですが、ここでるもんがさんが引用してくださったことで勉強になりました。ありがとうございました。
 ジイドは暗いですし読みにくいかもしれませんね。モーパッサンの方がとっつきやすいでしょう。ただ19世紀ものよりも20世紀後半の作家の方が文体も内容も分かりやすいのではないでしょうか。でも中高生に読ませるようなものを馬鹿にしてはいけませんよ。中学生の娘はモリエールを学校で読んでいますが、語彙も言い回しも難しく私はさらっと読めません。フランスの学校では読むとなったら抜粋ではなく全編読みますし、モリエールは次々と何作も読んでいました。とても太刀打ちできない・・・。
Commented by chez_toi at 2009-02-08 18:02 x
まゆのさん、はい、ジイドは暗いです。でも「女の一生」もあらすじを読んだら、なんとなく読む気がしなくなりました(^^;。やはり20世紀後半の作品がいいですか。でも、ラジオ講座の応用編で、かつて「マノン・レスコー」が取り上げられたこともあり、フランス語っていうのは、英語ほど時代によって変化がないのかなと思っていました。それじゃあ、そのうちシムノン(メグレ警視シリーズ)でも辞書を引き引き読んでみるかな(翻訳もあるし)。
 中・高生といえばもう子供向けじゃないでしょう。日本の国語の教科書でも昔は漱石が載っていたりしましたものね。
Commented by L-monger at 2009-02-12 01:27
まゆのさん、へええ、mineは両方の意味があるのは今回調べて知っていましたが、petite mineに顔色悪いの意味があるとは知りませんでした。もちろん、彼らには畑で肥えタゴかついだり、水牛を追ったりする仕事もあります。

このBPTCは高校生も読むんですよね。う~ん、性的描写のあるお話を学校などで読ませるのか~(ちょっとですが)。読ませない日本のほうが変か~。

全編読ませるのは私賛成です。細部が大事。
でもフランス語小説の古い作家はとりあえず私はパスです。
Commented by L-monger at 2009-02-12 01:34
chez_toiさん、私も女の一生のあらすじ見たら、読む気がしません(笑)。それでなくてもつらいのに(単語が分からなくて)、内容がつらいのはついていけません。BPTCの主人公たちはある種、ひどいめに遭っていますが、まだ若いから希望もあるしね。

メグレ警視か~。大学の時に挫折経験があります。あの時はCNG読書法なんてずるい方法を知らなかったからなあ。
それと、私はなぜか漱石の「猫」を中学生の時に繰り返し呼んでました。旺文社文庫の語彙解説がページの端に書いてある奴で。これもCNG読書法だったのか!?

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