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大人が子供のように外国語が習得できるか(5月7日)

特に外国語が苦手な消費者に英会話など外国語学習教材を買わせるセールストークとして「文法などを忘れて、まるで子供のように英語の音を聞いていれば、英会話はできるようになります」という趣旨の文句を聞くことがある。

この言い方にはウソが混じっている。素人さんは、(大人より劣った)子供ができているのだから、難しいことを考えずにあの方式でやればいいと思うのかもしれない。

ところが、子供は大人より劣っていない。幼児の頭の中には、周りで流れている言葉の音声を聞いて、自分で文法を作り出す、いわば「文法生成装置」があるのだ。そしてこの装置は小学校低学年ぐらいで、日本語に特化するためにその機能を停止してしまう。

だから大人がいくら頑張って外国語の音だけ聞いても、自分で文法に気が付くことはない。外国語が自然に身に付くことはありえない。そもそも母音や子音の切れ目の違う外国語を聞き取る機能も停止している。

じゃあどうするのか?文法を外から入れるしかないのだ。発音の方法も理屈で習うしかない。外から入れてそれが内在化するまで練習するしかないのだ。さあ、覚悟を決めなさい。

英語の「三人称単数現在形の動詞にSが付く」というルールがあったとして、この文言は忘れて構わない。I go to school every day. → He goes to school every day.がパッと出るようになるまで、繰り返し暗記と変形練習を繰り返す。なぜそうしなくてはならないか、気になった時だけ、文法ルールを思い出せばよい。後は瞬時に口から出るまで練習、練習である。

文法というのが紙の上の文字だけの話だと思うから間違う。文法とは生き生きした会話のやりとりの音声の中にあるものだ。そしてこれを身に付ける過程は、スポーツのように楽しい。

by L-monger | 2013-05-07 15:26 | ひとこと日記 | Comments(3)  

Commented by L-monger at 2013-05-07 17:17
(るも)「子供のように」という表現を「文字に頼らず、音声のみで」という意味に使っている場合もあるようだ。しかしこれは、完全に「こじつけ」だ。ピンズラーは、日本語の指示を聞いて外国語を言うというパターンだし、スピードラーニングも日本語訳を使うようだし、このように二か国語を混ぜるのは「子供のように」では全然ないなあ、と思ってしまう。
Commented by ぽてこ at 2013-05-08 17:42 x
本当にその通りですね~。子どもは柔らかな頭に直接言葉を刻み込み、大人は文法構造を教わってその枠組みの中でトレーニングを重ねる。おそらく大人にとって、文法から入るのが最も楽で最も近道な語学習得法だと思います。大人が子供の方法で学んだら、かえって困難を極めると思います。

「スポーツのように」というところが一番気に入りました。私はいつも、語学はスポーツのようだと言うのですが、わかってくれる人は少ないです。毎日トレーニングを重ねて、身体にしみこませて成果を出すって、正にスポーツではないでしょうか?

英語とドイツ語を独学でマスターし、現在はロシア語に取り組んでいる友人がいますが、彼女の持論は「語学の勉強は千本ノック」です。毎日単語をリピートする作業を千本ノックに例えたわけです。

語学は日々のトレーニングあるのみ。それがめんどくさいと思ったら、もうその時点で語学力はストップしてしまいますね。
Commented by L-monger at 2013-05-09 17:18
ぽてこさん、お久しぶり!

「スポーツ」とは他にも共通点があって、それは練習不足だと本番であがってしまい、実力を発揮できないということです。先日、十年ぶりくらいに英語をしゃべったら(英語は打ってばかりでしゃべってません)、とっても不満足な会話しかできませんでした。

私も、お友達のように毎日千本ノックしていたら良かったですね。

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