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中国語文法理解のための美しい補助線(12月2日)

例えば「了」の使用に関して「動詞+"了"+目的語のみ」にすると「文が完結した感じがしない」と言われる。「我买了电脑」(私はパソコンを買った)ではダメで、「我买了一台电脑」のように目的語に適当な修飾語を付けるか、「我买电脑了」としないといけない。または別の文を続けてもよい。

この「文が完結した感じがしない」というのが、私には分かりにくい。説明のためのもっと適切な例え、いわば数学の説明で使う「補助線」がほしいな、とずっと思っていた。

この前読んだ本「相席で黙っていられるか――日中言語行動比較論」(アマゾンのページ)には、面白い補助線が提案されていた。

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(クリックすると拡大)

「情景感」かあ。少し分かりやすような気がする。

(ちなみにこの本の筆者は中国人の奥さんのいる日本語の先生。中国語教育畑の人でないので、かえって目新しい視線があって、面白いです。)

そこで私も考えてみた。中国語の修飾語を付けるという行為は、フランス語にたとえると「不定形」から「活用形」に変えるようなものではないのか。不定形のacheterでは抽象的に「買うこと」にしかならないが、 J'achète un ordinateur.(私はパソコンを買う)とか J'ai acheté un ordinateur.(私はパソコンを買った)という風に活用すれば、具体的に現実の世界のものとすることができる。

中国語では、「买电脑」はいわばこのフランス語の不定形に相当し、「买一台电脑」が活用形。本来、単数と複数の厳密な区別のない中国語でわざわざ「一台」とつけるのは、あまり意味のない修飾語でも修飾語には変わりないので、「活用形にする」ために、適当な修飾語をつけているからだと言えるのではないか。(意味のない修飾語の件は、愛読書「中国語わかる文法」より受け売り)

以上、私自身のためのフィクション中国語文法なのであまり真に受けないように。

(東京の自宅にて)

by L-monger | 2013-12-02 14:19 | 中国語 | Comments(2)  

Commented by ハリボー at 2013-12-02 18:59 x
フィクションとおっしゃってますが、分かりやすいな~と感心しきりでした。

情景感に欠ける、というのも分かりやすいですね。これは、るもんがさんのご専門でもあるので私があれこれ言うのもあれですが、英語も似たところがあるな~と思いました。

英語も、なんかいろいろ言ったり書いたり、けっこう具体的にしたがる言語だと感じます。まあ場合によると言えば、よりますが。

日本語は、短くてもそれなりにそう通じる感じがあるような気がします。でもこれもやっぱりケースバイケースで、英語や中国語やそのほかの言語でも、言語によって、ここは詳しめに言う傾向がある、ここは短めに言う傾向がある、というのが、違うのかな、と今書きながら思いました。

すみません、何の分析にもなってません^^;でも、今回のは(いつもそうですが)、すごく面白い視点だと思いました。
Commented by L-monger at 2013-12-03 18:37
ハリボーさん、またまたありがとうございます。私やハリボーさんのように西洋言語に親しんできた人間は、中国語の文法説明は前提が大きく異なるため、自分に分かりやすい説明を探すか、作るかしないと、ずっと腹を立てたままになりかねません。多少でもお役にたてば幸いです。

フィクションと呼んでいるのは、中国語のようにケースバイケースの用語法が強い言葉では、あまり一つの仮説にこだわらない方が良い面もあるなと思いましたので、まあ、自分を含めた皆さんへのブレーキです。年取ると心配性になるもので(笑)。

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