黒田先生のロシア語学校Mと飽きない授業(17年8月24日)

黒田龍之助先生の「その他の外国語エトセトラ」という本に、先生がロシア語の基本を身につけた学校の話が書いてある。その授業の方法が興味深い(P.146「ロシア語学校M」)

箇条書きでまとめると:
1) 90分間の授業のうち、三分の二の時間は、一人一人が教科書の例文をテープのあとについて発音し、発音を矯正される。
2) 文法は特に教えない。教科書には文法説明も和訳もあるので、質問したければすればいい。
3) 発音の矯正作業が終わったら、簡単な単語テストをしたのちに教科書を閉じ、同じ文をテープで聞いて口頭で日本語訳する。
4) 先生が同じ文の日本語訳を読み上げるので、それをロシア語にする(訳すのではなく暗唱の確認)。

黒田先生は、この授業がとにかく楽しかったという。

分かるような気がする。とかく外国語は理屈で説明し、それを理解することに大部分の労力が費やされがちだが(それも大事だが)、それから後に「練習、練習、また練習」をしないと文法から離れて話せるようにはならない(ここが、現在のラジオ講座に特に欠けている部分だ。仕方ないんだろうけど)。

この「単調な」練習の時間は、外国語学習に慣れてない人は「つまらないに違いない」と思うのだろうが、ところがどっこい、やればやるほど楽しさが湧いてくるものだ。

2008年にNHKラジオ語学講座の大部分が「まいにちシリーズ」に変わったとき、ダジャレだとか歌だとか目先の楽しさを追う講座がいくつかあった。外国語学習に慣れてない人にアピールする目的だったのだろうが、あの類の楽しさは2か月ももたないと思う。自力でやれる(聞き取れる、読み取れる、話せる、書ける)という楽しみこそが、本当の意味での「飽きない」授業につながるのではないだろうか。

実は、今放送中の「まいにち中国語」はそのような楽しさを持った講座だと思うのだが、その話はまた次回書くことにする。


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by L-monger | 2017-08-24 14:29 | 学習法 | Comments(9)  

Commented by L-monger at 2017-08-26 11:48
(るも)単語は食材、文法は調味料と思うので、練習を通して知っている単語をどんどん増やしていくべきと思う。本文でも言った「まいにち中国語」(今学期=高木美鳥先生)や「まいにちロシア語」(昨年=オレーグ・ヴィソーチン先生@単語の貯金箱)はそのような考え方だと思う。

それに対して「まいにちロシア語」(今学期=黒岩幸子先生)の『皆さんの学習目的が多様ですので、この入門編ではまず覚えるべき基本語彙というものを定めていません。』(第66課)という記述には驚いた。どうりで出てくる単語数が少ないわけだ(以前の記事を参照)。文法より単語だと思うけどなあ(面白いのは文法だけど)。
Commented by バラコア at 2017-08-27 21:54 x
現代書館のサイトで黒田龍之助先生のweb連載が見られますよ。
かつてあったロシア語学校ミールについての回想録です。
連載終了後、加筆され本として出版されるそうです。
よろしければご覧ください。
Commented by L-monger at 2017-08-30 15:54
バラコアさん、web連載読みました。ロシア語学校に通い始めたころからの話が、より詳しく書かれていますね。いつの日か、この学校について一冊の本にまとめたいとエトセトラに書かれていたのはこの記事のことだったのですね。
Commented by yasufumic-ex at 2017-08-31 10:29
るもんがさん、こんにちは。

ちょっとずつうまくなっていく実感が得られるまでは辛抱辛抱の日々ですね。
そこで挫折する人を掬い上げるのは、難しいところでしょう。基準をゆるくして、手取り足取り甘やかしても、それなりにワイワイ楽しく過ごせるかもしれませんが、外国語習得の本質的な目的から外れてしまう。自分にとっての最初の動機、続ける意志を確認させられるのは、どのようなスキルの習得にもつきまといますからね。

Commented at 2017-08-31 10:38
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by L-monger at 2017-09-01 15:30
yasufumicさん、生徒に親切な先生ってどんな人を言うのだろうと思っちゃいますね。

チェックを甘々にして何を言ってもGood!ってヨイショされたら、絶対何も身につかないはず。表面的には厳しくても、それはとことん付き合ってくれる良い先生なのだと思います。

NHKの講座は万人向けなので甘々になる傾向が大です。でも、サバイバル臼山先生のような人がときどき出現するので、そのオーバーロード授業に負けるもんかと(自分のペースで)ついて行くのは本当に楽しかったです。

(黒田先生の本が楽しみになってきました。)
Commented by とど at 2017-09-11 14:25 x
 こんにちは。お久しぶりです。とどです。ここ数カ月パソコンが不調でしたので拝読できませんでしたが、久しぶりに拝読させていただきました。
 さて、今回の記事ですが、まさに今、黒田先生の講座が進行中です。「カタツムリの初級編」、1週遅れですが、いよいよ残り20課となりました。この講座も今回の記事の内容がベースになっているように感じます。
 ちょうど「カタツムリの初級編・中級編」が本放送されていた年は「まいにち…」に変わった直後でした。時間が大幅に削られ、マンネリ化もあったのか、2008年から3年程は手探りと楽しさをうりにしていたのだと感じます。とはいえ、ただ楽しい…ではなく、内容はシビアなものが多かったような…。
 例えば中国語は、最初の頃から1講座体制(アンコールもあった関係もあるが)。4月の20課は徹底的に発音が中心でした。しかも、文化コーナー的なものもなかったような…。フランス語はDJ的な楽しい内容のわりには、日本語を即座に仏語にさせたり、数字を仏語にさせたり、そこへ四則計算も加えるというスパルタ的。テキストも練習問題は最後、初級編を越えているともいわれるし…。
 何度も繰り返し学習を念頭に入れていたのではないでしょうか(個人的意見ですが…)。今は、あの当時より質的に落ちているかもしれません。それこそ、目先の楽しさが強いのではと感じます。
Commented by L-monger at 2017-09-12 14:19
とどさん、また書き込みいただき、ありがとうございます。おっしゃるとおりです。

言葉足らずでしたが「甘々」とは、2008年以降のラジオ講座が時間不足のため、1回聞いたらすぐ解説するなど、学習者が努力するヒマのないことを指します。(CDやストリーミングで学習者がポーズ&巻き戻しかければ解決ですが、そんな人は少ないでしょう)。リピートも1回じゃうまくならないし(ロシア語学校Mみたいにうまくできるまでリピートさせるのが一番いい)。もっと努力させろー(心の声)。

また、講座内での練習問題の少なさも気になっています。教室のように先生がチェックできないから、自分でチェックさせなければいけないのに、説明だけで終わらせている講座が多いです。この点からは露・黒田、仏・清岡、中・荒川の2008年の各先生は時間がなくてもずいぶん練習をさせてましたね。清岡先生のは大量の宿題でしたけど。(今年2017年の露・仏は練習問題少ないです。中は多いですけどね)

ま、講座の内容に文句を言わずに、自分で努力すればいいだけですけど、つい言いたくなってしまいます。
Commented by yasufumic-ex at 2017-09-19 21:56
こんにちは。

黒田先生つながりで、とある記事を教えてもらったので共有します。
https://www.nikkei.com/search/site/?n_cid=SPTMG040&searchKeyword=%E9%BB%92%E7%94%B0%E9%BE%8D%E4%B9%8B%E5%8A%A9

日経新聞に寄稿されていたとは、個人的にちょっと意外でした。

ではでは。

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