人気ブログランキング | 話題のタグを見る

中国語の結果補語について歴代講師の説明(8月27日)

中国語の「補語」というのは、原則どおりなら「修飾語+動詞」の語順となるはずが、でんぐり返って「動詞+修飾語」のようになる、オキテ破りの「形」を言うもののようです。「ナントカ補語」シリーズにはいろいろありますが、その中で「結果補語」について、NHKラジオ中国語講座の歴代講師が補語を扱う第1回目のレッスンで何と説明しているのか、4講座分を比べてみました。

☆(1) まいにち中国語「基礎をかためる6ヶ月」(荒川清秀先生、2008年4月期初放送中)
①結果補語の「完」<動詞+結果補語>
中国語の動詞は行為に重点があり、その行為の結果は、主に動詞の後ろに来る「結果補語」が表します。「結果補語」の中でも、ここで勉強する"~完"は「動作が終わる」「動作の結果、ものがなくなる」ことを表します。なお、否定は"没(有)"です。(ステップ56)

☆(2) 中国語講座入門編「耳たこ中国語」(陳淑梅先生、2007年4月期初放送、現在アンコール放送中)
「補語」とは、動詞や形容詞の後ろに置かれ、補足説明をするものです。「結果補語」は動作行為の結果を補足説明するもので、動詞や形容詞からなっています。例えば”做好”は動詞"做"(作る)+結果補語"好"(ちゃんと完成させる)で、"做好"は「作り上げた」「できた」という意味になります。
否定文は"没(有)"を使います。
なお、目的語が動詞の後ろにつく場合は、「動詞+結果補語+目的語」になります。(ステップ69)

☆(3) 中国語講座入門編「中国語24のエチュード」(遠藤光暁先生、2004年4月期初放送)
§101. 結果補語
動詞の後に更にもう1つ動詞または形容詞が付くと、動作の結果どのような状態に達したかを表します。この後ろについた動詞または形容詞のことを「結果補語」と呼びます。
  烤了 焼いた (焼けたかどうかまでは表現していない)
  烤好了 焼けた (焼いた結果「よい」という状態まで達した、つまり「焼けた」)
  没烤好 焼けていない (焼いたが、焼き上がっていない)      (ステップ77)

☆(4) 中国語講座入門編「メロディーで覚える中国語」(榎本英雄先生、2003年4月期初放送)
結果複合動詞 "-好" / "-完"
"好"は動詞と組合せ、「ちゃんと~している; しあがっている」など、その動作行為の結果が満足すべき状態になっていることを表す、結果複合動詞を作る成分となります。"完"も同じように結果複合動詞を作る成分となり、「~しおわる」など動作行為の終了を表します。目的語はしばしば主題化して文頭に引き出します。これら結果複合動詞の否定には"没"を使います("了"は消える)。       (ステップ69)

☆(1)は今の先生ですが、何だか頭の良い人でないと分からないような気がします。「中国語の動詞は行為に重点があり」は言う必要があるのかな?初級のふりをしていますが、たぶん上級までを見越して、たくさん話が出てくるのでしょう。
☆(2)の先生は丁寧なのですが、「補足」じゃないんじゃないかな。補語だから?
☆(3)は私の好きな先生です。従って評価が甘くなりますが、「好」あるなしのの意味の差に初レッスンから踏み込んでいるところに好感を持ちます。焼き肉の話だからおいしそうだし(笑)。
☆(4)は言わずとしれた、NHKテレビラジオをずっと教えてこられた大先生です。何と!補語というのではなく「結果複合動詞」とは!でも新しい動詞を作るのですよという考えは良いかも。しかも目的語が主題化して文頭に引き出される傾向があることを言ってますね。初見の時は何を言っている分からなかったけど、今読み直すと意味が腑に落ちます。むむ、恐るべし。

皆さんはどの説明が好きですか?

by L-monger | 2008-08-28 01:44 | 中国語 | Comments(5)  

Commented by Saito at 2008-08-28 10:30 x
私にはどの講師の説明も基本的には同様かなと感じました。
補足しますと
2)かつて('70年代)日本でも中国語の「~補語」を「~補足語」と称してましたが,本家中国で昔に「補足語」と言ってたかは未確認。
4)この先生は「捲舌音(そり舌音)」も「うき舌音」などと造語なさってます。「複合動詞」というのはそれ以前に他の先生方でも使われておりますが,例えば太田辰夫先生が「複合動詞」と称してるのに対し中国人が「中国語にそんな文法用語はない」とも批判しており私もその通りと思い,やはり「動詞」+「~補語」が中国語らしいその役割をピタリと言い表わしてると感じてます。補語があるとき目的語を文頭にくる傾向があることは荒川先生も放送でおっしゃってました。
Commented by L-monger at 2008-08-29 01:44
で、Saitoさんはどれがお好きなのでしょうか。どれも同じ?

それにしても補語はつけたしじゃなくてメインですよね。その前の動詞こそ、つけたしとして方法の表現。understand じゃ気に入らず、看得懂とか听得懂まで言わないといけない。もう、うっとおしいほど。

荒川先生のテキストって後で見返そうとすると、あちこちにバラバラに書いてあって探しにくいです。
Commented by p3-saito at 2008-08-29 10:08
そぅそぅ、だから補語が中国語ならではの表現で,使いこなせてこそ中級と言われてる所以だと思うのです。そぉいう点で『テレビで中国語』の古川先生の,動詞=トラック、補語=コンテナのイメージ教授法は見事で、脳裡に焼き付いてますた。(^^;
Commented by まゆの at 2008-08-31 05:51 x
ありがとうございます。夏休みで生活リズムが狂い勉強に支障が出ているところに補語にぶつかり挫折しかかっていました。思えば去年も8月後半で番組を脱落(レベル的にはその前に落ちこぼれていましたけど。)同じ過ちを2年続けてどうする、と気を取り直したところです。幸い補語のあとで既習事項が出て放棄せずに済みました。
 私がいいと思った説明は以下の通りです。
1)中国語の動詞は行為に重点があり・・・の下り。当たり前のようですが、動作の結果どうなったか、動作は完遂したのか、などは動詞には含まれない、ということですよね。日本語の「立つ」「座る」などの動詞は動作が完了していて、動詞というのは結果も含むと想定していたのでなるほど、と思いました。
3)焼いた結果「よい」という状態まで達した、つまり「焼けた」、この説明が理解を助けます。
4)結果複合動詞!、これには感動しました。というのは実は分からなくて悩みながら「結局複合動詞なんじゃないのかな。」と思っていたからです。用語に惑わされる必要はない、と分かってはいるもののやはり先入観を与えますよね。
以上で「さっぱり分からない」から「あまり分からない」に昇格した気がします。
Commented by L-monger at 2008-09-05 00:58
まゆのさん、こちらこそありがとうございます。まゆのさんのブログの記事がきっかけになり、昔のテキストを見返すことで、榎本先生の面白い記述を再発見することができました。

でも今の荒川先生の無意味と思われた説明方法も、まゆのさんには意味があったのですね。それも再発見でした。

中国語の文法説明は、ヨーロッパ言語と異なり、先生によりバラバラな部分もありますが、かえってその相違から学習することができたりするのではないかと、今は肯定的にとらえています。

<< ラジオ講座を使ったリスニング練... 8月第4週の感想(8月25日) >>