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独スト2 -「必携ドイツ文法総まとめ」で形容詞変化の謎を解く(15年10月22日)

「独スト」とは「独語Kompass2ストーカー」の略で(詳しくは3つ前の記事参照)、2はその第2回目だ。シリーズ化してしまった(笑)。Kompass2では先週と今週の第9課と第10課で、形容詞の付加語的用法を学習した。「形容詞+名詞」の使い方だ。以下、第9課のページ。
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どうにも見通しが悪かったので、最近愛用している「必携ドイツ文法総まとめ」(アマゾンのページ)で学習しなおした。(まとめ方がうまくて、初級者の私にはほとんどすべての疑問が解消する万能の本だ。)今回のKompass2では1格と4格(しかも混合変化のみ)しか教えないが、それが見通しが悪い原因なので、全部を見てみた。(以下は、見開きの画像に合成し直している。)

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表を見ただけで「これを暗記しなきゃならないの?うげー!」と拒否反応を示す人がいるようだが(「みちこさん英語をやりなおす」(アマゾンのページ)など参照)、違う違う。よく見てごらん。例えば、a. の弱変化の表で薄青色の「-e」の部分があるだろう?これが不規則な部分なので、これ以外は全部規則的に「-en」となっていると考えれば、楽に理解できる。理解だけなら。しかし、覚えるときは文にして Ich möchte einen roten Wein.(私は赤ワインが1杯欲しいです)などと繰り返し口にして覚えないとぱっと出てこないけどね。(でも日本人は形容詞語尾の事を知らなくてもアイネ・クライネ・ナハトムジークって覚えているはずだ。これは女性名詞のケース。)

私なりに原則をまとめると「(冠詞類)+形容詞+名詞」の場合:

1. 格変化はどこかで示すことになっている。冠詞が示す場合や形容詞が示す場合がある。

2. 定冠詞(derなど)は「強い変化」であり、それ自身で格を示すので、形容詞の方は「弱い変化」で構わない。例えば男性名詞の場合、定冠詞のがわに-er, -es, -em, -enの語尾がある。

3. 不定冠詞(einなど)はところどころ「弱い変化」になってしまったときに格を示していないので、そこだけ形容詞の方で「強い変化」をして格を示す。例えば男性名詞1格は形容詞のがわに-erの語尾, 男性名詞2、3、4格は、不定冠詞のがわに-es, -em, -enの語尾がある。(混合変化)

4. 冠詞が付かない場合は、すべて形容詞の責任で「強い変化」をする。つまり男性名詞の場合、形容詞のがわに-er, -en(不規則), -em, -enの語尾がある。

返す返すも、形容詞の弱い変化で全部 -en になってないのが惜しいね。 -eなんて不規則系があるから難しく感じられる。

ここまでまとめて「あっ!」と気が付いた。混合変化の表をよく見てほしい。Kompass2で取り上げている、不定冠詞つきの男1、女1、中1/男4、女4、中4の6個のうち、男1、中1、中4が上記3番の例外に当てはまり(冠詞付きなのに、形容詞が強い変化)、そして女1も女4も形容詞が-eの不規則な方だ。

規則性を強調せず、不規則なのを主に教えてしまう教授法だったか!どうりで、見通しが立たないわけだ。(あと複数形も教えているが、第9課では冠詞なし、第10課で定冠詞付きと変えているのはなぜだろう?理由の説明はなかった。面白いなあ)

by L-monger | 2015-10-22 16:07 | ドイツ語 | Comments(4)  

Commented by L-monger at 2015-10-22 21:53
(るも)フランス語の形容詞は、名詞の性・数に一致する(性は男女のみで、格変化はない)。しかも述語だろうが、「形容詞+名詞(名詞+形容詞)」だろうが、必ず一致する。これを昔はウザイと思っていたが、今では、上記ドイツ語のように語尾変化したり、しなかったりするのに比べてずっと簡単な気がしている。慣れればドイツ語も変に感じなくなるんだろうけどね。以下は例。
Sie ist schön. → Elle est belle.(彼女は美しい)
Sie ist ein schönes Mädchen. → C'est une belle fille.(彼女は美しい少女だ)
これを知らなくて、最初「(X) Sie ist schönes.」かなと思っていたが、どこにも説明がなくて(存在しないルールは書かないから)、「必携ドイツ文法総まとめ」の上のページの最初に一致していない例を見て「あ!フランス語と違うんだ~」とようやく理解した次第。同じ経験のある人、いる?
Commented by L-monger at 2015-10-23 15:32
(るも)繰り返し練習として、以下の実例を繰り返し発音してみている。本文に書いた原則と表の位置を思い出すようにして、ドイツ語の文字を見ずに、発音する方法だ。スペイン語の菅原先生の言う「筋トレ」である。

(男) 不定1格「one 古いワインは」ein alter Wein
不定4格「one 古いワインを」einen alten Wein
定1格「the 古いワインは」der alte Wein
定4格「the 古いワインを」den alten Wein

(女)不定1格「one 新しい上着は」eine neue Jacke
不定4格「one 新しい上着を」eine neue Jacke
定1格「the 新しい上着は」die neue Jacke
定4格「the 新しい上着を」die neue Jacke

(中)不定1格「one 青い本は」ein blaues Buch
不定4格「one 青い本を」ein blaues Buch
定1格「the 青い本は」das blaue Buch
定4格「the 青い本を」das blaue Buch
Commented by ラーラ at 2015-10-25 14:06 x
独ストシリーズ、ありがとうございます。

私のような入門者には、唐突すぎて難しい講座ですが習慣になっているので聞いています。ほとんどわかりません。冷凍保存しています。

今回のるもんがさんの記事に刺激を受けて、形容詞変化の勉強を、るもんがさんが前に紹介してくださった関口先生の本で勉強してみたら、ちょっと理解ができました。

るもんがさんのおっしゃる

規則性を強調せず、不規則なのを主に教えてしまう教授法だったか!

なるほど!と思いました。だから入門の私にはわからないのも無理はないなと。

るもんがさんが謎を解いてくださるので、この文法項目に愛着がわき、記憶に残っていくような気がします。ありがとうございました。
Commented by L-monger at 2015-10-26 14:16
ラーラさん、正に初心者の方たちに「分からないのは自分が悪い」と思わないでほしかったので、この記事を書いてみました。こちらこそありがとうございます。

先生方の意図を善意に解釈すれば、最も多用される1格と4格の例から教えているともいえますが、最も多用される部分は格変化の語尾が「すり減っている」ため、規則性が失われていて一見よく分からない形になりがちです。深く考えない受講生ならばそれでも良いのですが、ドイツ語を学ぶ人は深く考える人が多いと思うので、混合変化とともに強変化と弱変化も一緒に教えた方が良いのではないかと思いました。するとメチャメチャなルールではないと分かるしね。(でも11月号では形容詞の弱変化と強変化を教えないのですね。いつ教えるのだろう?)

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