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東洋は日本!? (中)

朝日新聞の土曜版やテレビ中国語会話テキストの連載でおなじみの莫邦富(モー・バンフ)さんの「これは私が愛した日本なのか」を読みました。

日本語との出会いのきっかけが、上海で放送されたラジオ日本語講座だったというのが、私たちと逆だけど同じで、何か親近感を覚えました。

そのテキストを初めて見たときの氏の感想。

「日本語はこれほど簡単でわずか五つしかない母音を使って構成された言語なのか。人間の豊かな感情を現わすのに必要なたくさんの言葉を、日本人はどうやって作り上げたのだろう。この母音の少ない日本語を使って愛という繊細かつ微妙で豊かな感情を若い女性はどうやって吐露するのだろう。詩人は詩を書く時どうやって韻を踏むのだろう......」

なるほど母音・子音の多さと声調のおかげで単語が1音節や2音節ですむ中国語から見れば、そう思うのかもしれませんね。とりあえずの簡単な答え=一単語に多めの音節数を使います! いちいち主語はいいません。そこから省略の美が生まれました。(歌の歌詞なんかでは他の外国語よりも圧倒的に情報が少なくなりますね。)

莫邦富さんが学生だった、1973年ごろはまだ日本に対する印象が悪かったので(そのあと良くなってまた悪くなったみたい)、上海外国語大学で日本語を学ぶと決めた彼にお母さんが言った言葉。

「なにを勉強しても良いのに、よりにもよってあの「東洋人」の言葉、「東洋語」を勉強するなんて、お母さんは悔しい、納得できない」

莫邦富さんの注=「東洋」とは中国語で日本のことを指す。「東洋人」=日本人、「東洋語」=日本語の意味。

こいつは驚きです。東洋が日本だなんて(婉曲語法?)。何かのアンケートで、中国人は自分たちを東洋人と思っていないとありましたが、自分以外を東洋人と呼んだのかな?
(もっとも日本人は日本国内では、自分たちが東洋人だとは思っていないという、逆の現象もありますが)

でもお母さんは後に考えを改めます。莫邦富さんの弟にたいして「日本語を勉強して兄さんのように出世したらいいわ」と言います。

「おやおや、母さんはいつから日本のファンになったんだ。びっくりさせないでよ」
母は大真面目に答えた。
「だって、家に遊びに来る日本人はみんな真面目で親切な人ばかり。日本人も、日本も変わったのよ」

よかった、よかった。(あの頃は...)
それにしても、大平首相のまいた種って大きかったんですねえ(日本語教師の育成)、ちっとも知らなかった。

by L-monger | 2005-08-30 00:49 | 中国語 | Comments(3)  

Commented by shrimp at 2005-09-01 09:53 x
こんにちは、るもんがさん。
中国人は日本のことを「东洋」とか「东瀛」と呼びますが、どちらも東の海の向こうの国という意味があるみたいです。歴史教科書で話題の扶桑社の「扶桑」も日本の意味です。いずれも日本人が中国のことを「大陸」と呼ぶのと同じようなものかもしれません。
Commented by L-monger at 2005-09-02 00:38
あ、そうかあ。中国は「中心の国」だから、そこから見た「東の海の向こうの国」なのですね。
どうも西洋語でOrient とか East に相当する言葉として「東洋」を見てしまうのは、日本人の癖ですね(言葉の中身を見ないで、記号化する)。中国語では、個々の字に分解して考えるのだということを覚えておきます。
shrimpさん、どうもありがとうございました!
(ホームページ、仕事の合間に、少しづつ楽しませてもらってます。)
Commented by officemei at 2006-01-09 20:08
我的工作需要我時常奔波於中國大陸(40%)、台灣(30%)和日本(30%)、因而有幸走遍了中國大陸的大部份城市和台灣的各個城市、平常喜歡閱讀和觀察週圍的人、事、物。在此、將我本人所曾經歷的點點滴滴匯成文字、用中文或日文編成隨感、同時貼上有關中國大陸、台灣及日本的消息、歡迎各位瀏覽交流。

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